未婚の母の税金の負担が軽くなるように法律が改正されることになったので、未婚の母の生活はどうなるのか?未婚の母の税負担が今後どうなるかを解説します。
自民、公明両党は13日、未婚のひとり親に対する税制上の支援策について、住民税の負担を軽減することで合意した。こうした方針を盛り込んだ2019年度与党税制改正大綱は、14日に決定される見通しとなった。
引用 読売新聞 未婚のひとり親、住民税の負担を軽減…自公合意
未婚父やシングルファーザーは省略して全て「未婚の母」と書いてますが、未婚の父やシングルファーザーも、今回の住民税の負担軽減策の対象です。
未婚の母でも年収204万円以下は住民税非課税世帯扱いになる
今まで結婚したことがないいわゆる未婚の母の世帯は、年収が204万円以下でも非課税世帯にはなりませんでした。
しかし、令和3年から年収204万円以下の未婚ひとり親は、住民税非課税扱いになることが決まりました。
未婚の母なら、年収365万円まで年間17,500円を給付
ただ、未婚の母という概念をなくすというのではなく、未婚の母と離婚死別の母との不公平感を埋めるために、給付金を出すと言う流れ。
具体的には、児童扶養手当の受給者で前年の年収が約204万円(年間合計所得135万円)以下の一人親は未婚でも住民税を非課税とする。予算面でも対応し、31年度に1人当たり1万7500円を支給する。
大綱で決まった支援措置では、未婚の一人親の住民税は減税されるが、所得税の負担は残る。このため、手当の1万7500円は、寡婦控除を所得税に適用した場合に見合う額として設定した。年収365万円までの10万人弱が支給対象となる見通し。
引用 産経新聞 未婚の一人親支援を拡充、年収204万円以下は住民税非課税に 1万7500円も手当 税制大綱
給付金って手紙送ったり手間がかかるのですが、どうしても未婚の母を「母親」とは認めたくないようで、わざわざ未婚のママと、離婚死別ママとで手続きは一緒にはせず、手元に残る現金を同額になるように給付という形になってます。
未婚の母の住民税が軽減されることで負担額が変わる公共サービス一覧
今回、年収204万円以下の未婚の母が、他のひとり親と同じ条件で住民税非課税世帯となりました。
これにより、今まで対象外になっていた各種の公共サービスや支援が利用できるようになります。
住民税非課税世帯が対象の支援や、住民税の金額が利用料金に影響する公共サービスを調べました。
未婚の母が非課税世帯になると高等学校等奨学のための給付金制度(高校生等奨学給付金)の対象になる
高校生のための給付型奨学金は、対象者が住民税非課税世帯です。
これまで、対象になっていなかった年収204万円の未婚ママも、今回の改正で対象になります。
31年度から非課税になるので今年は対象になるはずです。
給付金額
- 国立・公立高等学校等に在学する者:年額8万800円
- 私立高等学校等に在学する者:年額8万9,000円
○非課税世帯【全日制等】(第二子以降)
- 国立・公立高等学校等に在学する者:年額12万9,700円
- 私立高等学校等に在学する者:年額13万8,000円
○非課税世帯【通信制】
- 国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万6,500円
- 私立高等学校等に在学する者:年額3万8,100円
引用 文部科学省 高校生等奨学給付金について
未婚の母が非課税世帯になると給付型&無利子奨学金が受けられる可能性が上がる
高校生等奨学給付金と同様に、給付型奨学金も非課税世帯が申し込みの条件です。
申し込み要件(いずれかに)該当する人
ア.住民税非課税世帯(家計支持者の市区町村民税所得割額が0円の人)
イ.生活保護世帯の人
ウ.社会的養護を必要とする人(※)
※18歳時点で児童養護施設、児童自立支援施設、情緒障害児短期治療施設(平成29年4月~「児童心理治療施設」に改称)、自立援助ホームに入所していた人、又は、18歳時点で里親、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)委託者のもとで養育されていた人引用 JASSO 日本学生支援機構 給付型奨学金について
無利子の奨学金も学力基準の他に非課税世帯が対象です。
(1) 高等学校又は専修学校高等課程の1年から申込時までの成績の平均値が3.5以上
(2) 高等学校卒業程度認定試験もしくは大学入学資格検定に合格した人、又は科目合格者で機構の定める基準に該当する人
(3)家計支持者(父母等、2人いる場合は2人とも)の住民税(所得割)が非課税であって、以下のいずれかに該当するとして学校長の推薦を得られる人
・特定の分野において特に優れた資質能力を有し、進学先の学校において特に優れた学習成績を修める見込みがあること
・進学先の学校における学修に意欲があり、進学先の学校において特に優れた学習成績を修める見込みがあること引用 JASSO 第一種 無利子奨学金
未婚ママもこれが利用できるようになります!
未婚の母が住民税を軽減されると介護サービスの減免が受けられる可能性が広がる
同居しているジジババが介護サービスを利用している場合、非課税世帯になると利用料金が安くなることがあります。
利用者負担が過重にならないよう、所得の低い方には下記の表のとおり、所得に応じた区分により次の措置が講じられています。
設定区分 対象者 第1段階 生活保護者等 世帯全員が市町村民税非課税で、老齢福祉年金受給者 第2段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円以下 第3段階 世帯全員が市町村民税非課税で、本人の公的年金収入額+合計所得金額が80万円超 第4段階 市区町村民税課税世帯 引用 厚生労働省 介護サービス
未婚の母が住民税を軽減されると障害児支援の減免が受けられる可能性が上がる
発達障害など障害児の支援サービスを利用している未婚ママ世帯もいると思いますが、児童発達支援や放課後デイサービスの利用料金も非課税世帯だと自己負担なしで利用できます。
未婚の母の住民税軽減は、市営住宅への入居に関係する
住民税の滞納があると、市営住宅に入居できません。
未婚の母さんの住民税が軽減されることで滞納がなくなる人もいると思います。
申込者及び入居しようとする家族について、住民税の滞納及び市営住宅の使用に関する債務がないこと
引用 横浜市 建築局 市営住宅
未婚のひとり親世帯の保育料の軽減は2018年9月から適応されています
今回の法改正に先立って、すでに9月から未婚ママの保育料は、寡婦控除がみなし適応されて軽減されています。
多くの自治体ではすでに、寡婦控除をみなし適用していたのですが、していなかった2割の自治体にお住まいのママは、9月からの保育料が安くなっているはずです。確認してみてくださいね。
政府は28日、ひとり親家庭向けに子どもの保育料を軽減する措置を拡大し、未婚でも適用する政令改正を閣議決定した。9月1日に施行する。これまでは配偶者と死別、または離婚した場合に限られていた。既に全国の市区町村のうち約2割では独自に実施しているが、今回の改正により全国一律で軽減を受けられるようになる。
死別や離婚の場合は、所得税などを算定する際に所得から一定額を差し引く「寡婦(寡夫)控除」の対象となるため、控除後の所得に基づいて計算される保育料も低く抑えられている。
今回の改正は、未婚の親も控除を受けたとみなし、保育料の減免措置が受けられるようにする内容。
引用 佐賀新聞 未婚世帯も保育料軽減 9月1日から、政令を改正
以上のように、寡婦控除のみなし適用になったり、税法が改善されて徐々に非婚のママと離婚死別シンママでの税法での扱いの差が縮まっているように思いますが、同じにはなっていません。
年収300万円の未婚の母が寡婦控除を適用できれば、年間5.26万円手取りが変わる
今現在、どのくらいシンママと未婚ママで手取りに差が出るのかと言うと、たとえば年収300万円で扶養している子供が2人いる離婚シンママと、未婚の母であるシンママで比べます。
未婚の母の場合(子供16歳未満控除なし)
15歳までは、子供手当がある代わりに、扶養控除がありません。
年収300万円の手取り給料:300万円 - 所得税・住民税17.37万円 - 社会保険料43.2万円 = 239.43万円
税金というのは、各種控除(社会保険料控除、基礎控除、医療費控除、生命保険控除、基礎控除、寡婦控除など)を差し引いて、残った金額で税金額が決まります。
なので、各種控除が沢山ある方が、支払う税金が少ないのです。
しかし、未婚シンママは寡婦控除が使えないので、控除できるものが独身者と変わりませんから、独身と同じ金額を払うことになります。
離婚死別シンママの場合(子供16歳未満控除なし)
15歳までは子供手当がある代わりに、扶養控除がありません。
離婚死別問わず結婚したことがあるシンママは、寡婦控除が使えるため、上記のように所得税住民税の負担が少し軽くなるため手取りが増えます。
どちらの手取りの金額も目安になりますが、ざっと年間5万円ほど手取りに差が出るんです。
婚姻届を出したかどうかだけで!
「未婚の母に支援は必要ない」に反論する
ざっくり言うと支援が必要な理由は二つです。
- 子供の貧困を放置することは、社会的な損失。
- 未婚の母は、女性差別。
欧州では社会実験によって常識になっていますが、子供の貧困を放置すると子供は教育を受ける機会が失われ、その後社会に出た時に、良い仕事につけずにその子供も貧困のままなので、逆に社会的なコストがかかってしまいます。
なので、子供の貧困を放置することは、普通の人の生活を脅かすことになるんです。
だから、子供の貧困を放置してはダメなんです。
次に、結婚歴があるかどうかで支払う税金に差がでるのは、未婚で産んだ女性に対する男性からのペナルティとしか思えません。
女性差別でしょ。
非婚ママに不利益を放置するのは、男の基準に沿った女だけを保護するという男の価値観によるものだと私は思います。
ちなみに、異性に対してマウンティングする男の価値観は、男性同士の場合は、男の基準から外れた人は排除するという価値観に変わります。「男なのにナヨナヨしてる」とか言って。
一刻も早く、非婚ママも寡婦控除が適用されますように。
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