公営住宅(市営住宅、県営住宅など)は、市町村が建設して、主に所得が低く住宅に困っている人に貸してくれる住宅です。
早い話、貧乏だと入居できるのですが、どのくらいの年収だと入居できるのか調べてみました。
我が家も入居したい!言う人や、入居している人がそんなに貧しいとは思えないんだけど?という疑問を持っている人、団地の暮らしぶりについて気になる人はぜひ読んでみて。
市営住宅に入居できる年収は?収入基準早見表
ざっくり言うと、この年収以下であれば市営住宅に入居できます。
参考サイト 安中市 市営住宅について
世帯 人員 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | |
---|---|---|---|---|---|---|
公営住宅 収入基準 | 年収 | 2,967,999円以下 | 3,511,999円以下 | 3,995,999円以下 | 4,471,999円以下 | 4,947,999円以下 |
裁量階層収入基準 | 年収 | 3,887,999円以下 | 4,363,999円以下 | 4,835,999円以下 | 5,311,999円以下 | 5,787,999円以下 |
改良住宅・更新住宅 収入基準 | 年収 | 2,211,999円以下 | 2,755,999円以下 | 3,299,999円以下 | 3,811,999円以下 | 4,287,999円以下 |
改良 住宅 裁量階層収入基準 | 年収 | 2,643,999円以下 | 3,183,999円以下 | 3,711,999円以下 | 4,187,999円以下 | 4,663,999円以下 |
特定公共賃貸住宅 | 年収 | 該当無し | 3,512,000円以上 8,248,889円以下 | 3,996,000円以上8,671,112円以下 | 4,472,000円以上9,093,334円以下 | 4,948,000円以上9,515,556円以下 |
収入の基準は国で決めているので、全国共通の基準です。
- 年収とは、税込みの総収入です。
- 年収は給与所得者が1人の場合の例です。
- 裁量階層とは、未就学児、老人、障害者がいる世帯です。
- 改良住宅とは、公営住宅よりも入居できる世帯の収入が厳しく設定されている団地のこと。
- 特定公共賃貸住宅とは、公営住宅よりも入居できる世帯の収入が緩く設定されている団地のこと。
つまり、改良住宅は収入の基準が厳しいので、より低所得の人が入りやすい団地ですが、逆に特定市営住宅は、家賃は民間より若干安いにも関わらず、基準以下の収入だと入居できない団地です。
また、上の表は年収なので、夫婦二人と子供一人の三人家族の市営住宅に入居可能な手取りの目安を割り出すと、26万円位です。
ちなみに、子供二人の母子家庭の場合は、同じ3人家族でも寡婦控除があるのでもう少し年収(手取り)が上でも入居できます。
市営住宅に入居を考える人に読んでほしい、市営住宅のメリットデメリットの記事もどうぞ。
もっと詳しく市営住宅の入居基準を知りたい!
上の表は年収と家族の人数で割り出した年収の早見表ですが、本来は特別な式を用いて、基準月収というものを割り出し、原則、基準月収が158,000円以下の場合に入居ができます。
例外として、入居者希望者が少なく市営住宅が余っている場合は、基準月収額をもっと高くして入居対象の世帯を広げて募集している市町村もあります。(鹿児島市 市営住宅入居資格の緩和)
入居申し込みができる基準月収
基準月収額の説明 申し込み世帯 基準月収額 市営住宅(一般の世帯) 158,000円以下 市営住宅(裁量階層の世帯) 214,000円以下 特別市営住宅 158,000円以上487,000円以下 注)裁量階層とは、次の項目に該当する世帯
- 入居者又は同居者に障害者基本法第2条に規定する障害者で次のいずれかに該当する人がいる。
ア. 身体障害者福祉法施行規則による障害の程度が1級から4級に該当する
イ.精神保健及び精神障害者福祉法に関する法律施行令に規定する1級から2級に該当する
ウ.イに規定する精神障害の程度に相当する知的障害者- 入居者が60歳以上の人であり、かつ、同居者のいずれもが60歳以上の人又は18歳未満の人である場合
- 小学校就学前の子供のいる世帯
裁量階層の世帯だと、月収額が一般世帯よりも高いので入居できる可能性が高まりますね。ちなみに、母子家庭は裁量階層ではありません。
市営住宅の基準月収額の出し方は特殊。手取りじゃないのよ!
上の表を見て、手取り16万円だから市営住宅には入居できないのか・・・。と思うかもしれませんが、その判断は間違ってます。
市営住宅の入居で出す基準月収額は手取りじゃありません。
基準月収額の出し方は、{世帯の所得合計金額-控除額(38万円×同居親族及び同居しない扶養親族数+特別控除)}÷12か月の式で求めます。
所得から基礎控除38万円を扶養親族分引いて、特別控除があれば更に引いて、それを12で割ります。
特別控除は税法上の控除で、母子家庭なら寡婦控除、自分の両親を扶養にいれているのであれば、老人扶養親族控除を差し引きます。詳しい控除の金額は下の表で確認してください。
控除名 | 控除対象者 | 控除額 | |
---|---|---|---|
ア | 老人控除対象配偶者 | 年齢70歳以上の扶養親族 | 10万円 |
イ | 老人扶養親族 | 年齢70歳以上の扶養親族 | 10万円 |
ウ | 特定扶養親族 | 16歳以上23歳未満の扶養親族 | 25万円 |
エ | 寡婦(夫)控除 | 寡婦(夫)について所得がある場合 | 27万円まで |
オ | 障害者控除 | 障害者(3級以下) | 27万円 |
カ | 特別障害者控除 | 重度(1級・2級)の障害者がいる場合 | 40万円 |
そして、注意してほしいのですが、基準月収158,000円は入居申し込みができる月収であって、入居後にそれ以上の収入になるとすぐに退去ということにはなりません。
団地に住める収入上限はいくら?
退去請求がだされる年収はいくらか、と言うと、夫婦(妻扶養範囲内パート)+子供一人の3人家族(又は子供二人の3人家族の母子家庭)で計算すると、年収は630万円位が上限の年収になります。
団地に住める年収の上限の計算方法
どのように計算したのかまとめておきます。
まず、基準月収の式を使って退去の請求される所得を割り出します。
明け渡しを請求される基準月収は31万3千円なので、
{世帯の所得合計金額-控除額(38万円×同居親族及び同居しない扶養親族数+特別控除)}÷12=313,000円が成立し、
{所得-(38×2人)}÷12=31万3000円。したがって、所得=451.6万円だということが割り出されました。
そして、所得が451.6万円ということは、年収は約630万円です。
(所得=6,300,000÷4 (千円未満の端数切て))×4×80%-540,000=4,500,000円。国税庁給与所得計算より)
手取りはいくら位なのかというと、夫婦(専業主婦)+子供一人や、子供二人の母子家庭なら手取り40万円位でしょうか。
しかも、妻がパートで103万円以下の稼ぎなら所得はゼロなので年収730万円までは明け渡し請求されないはずです。
3人家族で年収630万円(又は730万円)は多くもないですが、特に少なくもない年収だと思います。中間層の範囲内。
しかも、すぐに明け渡し請求されるわけではなく、基準を超えても市営住宅への入居が5年以内であれば、家賃は民間賃貸と同額程度になりますが、明け渡し請求はありません。
しかし、ずっと民間と同じ程度の家賃というわけにはいきません。市営住宅は、困っている人に住宅を提供するという使命があるんですからね。
そこで、市町村は、市営住宅に5年以上の入居していて、基準年収を2年に渡り超える世帯の家賃を近郊の民間賃貸の2倍の家賃に設定しています。
この、『年収が高くなると相応の家賃に近づき、限度額を超えると2倍の家賃となって、退出を促す』という仕組み、地味にスゴイ。
これによって、低所得の人に住む家があてがわれるだけでなく、相応の家賃を払う人も住み続けられることで、税金の負担も減るんですよね。
よくできた仕組みと言えそう。
高額所得者とは、公営住宅に引き続き5年以上入居している者で、最近2年間引き続き政令で定める基準を超える高額の収入のあるものである(法第29条第1項)と規定されてます。
高額所得者となる収入の基準は31万3千円と定められています(第9条第1項)。高額所得者に対しては事業主体が法的措置を講ぜずとも、公営住宅の明渡しが促進されるよう高額所得者の家賃を近傍同種の家賃とし、明渡請求の期限が到来した後も公営住宅を明渡さない者に対しては、近傍同種の住宅の家賃の2倍に相当する額以下の金銭を徴収することができるとされています。
引用サイト 沖縄市 市営住宅の家賃について
市営住宅で年収をごまかすことはできません
市営住宅の入居にあたって、所得証明書など公的な証明書の提出が求められます。
ごまかしようがないと思います。
自営業なら売り上げをごまかせるじゃないか?という話も聞きますけど、今の時代現金払いのみで仕事をしているところは、ビジネスの感度が鈍く低所得だと思いますけどね。
市営住宅の入居できる年収についてのまとめ
低所得者だけが入居申し込みができる団地ですが、年収が上がるとすぐに退去しなければならないというのは、誤解です。あくまで入居申し込み時の年収が厳しいという話です。
なので、団地に住んでいる人から、普通車を買ったことや旅行に行った話を聞いて、貧しい人のはずなのに?不正をしているのではないか?とモヤモヤしている人がいるようですが、
安い家賃のお蔭で貯金しているだけで適正家賃を払って住んでいるだけでしょう。
どんなところにも騙す人はいますので、不正をする人はゼロではないとは思いますが、特殊だと思います。
年収が低いうちに結婚したカップルなら、団地に入居できるでしょうし、団地に入ってしまった後に所得が上がっても、案外住み続けられます。
また、入居資格があるなら、ダメ元もとで役所に話を聞きに行った方がいいと思います。案外、新築などの掘り出しものの市営住宅があると思います。
ちなみに、団地の人間関係が気になると思いますが、最近の団地も少子高齢化でジジババが9割で交流がありません。
月一回の掃除で、あいさつして、「今日も暑いですねor寒いですね」程度の常識的な世間話をする程度で、濃厚な人間関係はありません。寂しいくらいないよ。
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